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韓国に行ってきました その7  韓国観光3日目 vol.1(SRTを試乗)

韓国旅行3日目。
この日の夕方には仁川空港から日本に帰るので、韓国最終日です。

午前中は「SRT」という、韓国の新しい高速鉄道を試し乗りしてきました。





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「SRT」とは?


韓国にはすでに、国鉄である「KORAIL」が運行する高速鉄道「KTX」が走っています。
しかし、国鉄ってのはどこの国も同じモンで、「非効率な列車運行」「ずさんな工事」「頻繁に起こる重大事故」に、国と鉄道施設公団は頭を悩ませていました。

そこで国と鉄道施設公団は、



 
     \  __  /
     _ (m) _ピコーン
        |ミ|
      /  `´  \

        ノ´⌒ヽ,   
    γ⌒´      ヽ,  
   // ⌒""⌒\  )  
    i /  (・ )` ´( ・) i/  
    !゙    (__人_)  |   
    |     |┬{   |   < 余計なこと閃いた! 
   \    `ー'  /
    /       |  


「新しく敷設する高速新線の運営権をKORAILから取り上げて、『高速鉄道の運営やってみたーい!』っていう民間会社に新規参入させれば、KORAILと民間会社との間で市場競争が起こって、KORAILもより良いサービス向上に目を覚ますんじゃね?」


しかし、新しく敷設する高速新線は、ソウル市内から約60Kmまでで、その先は既存の京釜高速線・湖南高速線へと乗り入れる形だったので、KORAIL側は「民間会社が運行・運転する高速列車がそのまま相互乗り入れしてくるのは、安全面で問題がある!」と反発したが、実のところは内心「民間会社がすんげぇトキメキのサービスてんこ盛りで高速列車運行し始めたら、うちのKTXのお客が流れちゃう!」と超心配だったので、あくまでも「安全がー」「安全がー」を理由に、新規参入を断固反対した。

しかし国民からは、「安全がーゆうても、普段からあんた事故りまくっとるやんけ」という冷ややかな目線だったらしい。


結局、国と鉄道施設公団は、民間会社による新規参入を諦め、新しい鉄道公社を設立する案でKORAILと決着し、KORAILの子会社という形で「株式会社Supreme Railways(SR)」が設立された。

一応KORAILの子会社という形にはなっているが、株式の保有率はKORAILが41%で、全体の半分以上が「私立学校教職員年金公団」とか銀行とかが株式を保有しているので、半官半民みたいな感じであるが、「国鉄」しか無かった国に株式会社による新しい鉄道会社ができたってのは、韓国国内ではかなりの衝撃だったらしい。


2016年2月には列車名を「SRT(Super Rapid Train/Supreme Railways Train)」に決定。
2016年12月に高速新線の「水西平沢高速線」が開業し、同時に「SRT」が水西-釜山・木浦間で運行を開始しました。

KORAILが散々「安全がー」と言っていた相互乗り入れについては、水西平沢高速線から先の乗り入れ区間もそのままSR社の運転士・乗務員が全区間通しで乗務することに。

運賃がKTXに比べて1~2割安い設定となったことから、ソウル側のターミナルが不便な場所にもかかわらず満席の列車が続発し、沿線住民からは列車の増発と、釜山・木浦以外の地方都市への乗り入れ要望の声が運行開始直後から非常に多く寄せられているそうな。



おしまい。

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さて、そのSRT。

ソウル側のターミナルは、ソウル駅や龍山駅ではなく、水西(スソ)駅が基点ターミナル。

ソウルに(というか韓国自体に)全く土地勘が無いので、ツアコンのCさんやKさんから「これから地下鉄でSRTの水西駅に向かいます」と言われて付いていったら、地下鉄で何駅過ぎても水西駅になかなか着かない。

通勤時間帯だったので地下鉄もすごいラッシュで、座ることもできず。

結局ほぼ立ったままで、約1時間地下鉄に乗り、やっと水西駅に到着。



「どんだけ遠いんだよ?!」と思い、帰国してからグーグルマップで見てみた。

2018korea271.jpg

ソウル駅からSRT水西駅までの距離を、同じ縮尺で東京駅基点で換算してみると、直線距離

東京駅 → 小田急線喜多見駅
東京駅 → 南武線武蔵中原駅
東京駅 → 京王線千歳烏山駅
東京駅 → 西武線石神井公園駅
東京駅 → 総武線本八幡駅
東京駅 → 東西線原木中山駅

とほぼ同じくらい遠い。

もっとも、直線距離換算であっても、実際にはこれらの駅にはだいたい東京駅から40分ぐらいで行けます。
今回は地下鉄で1時間ぐらいかかったので、体感的には、これらの駅よりももっと遠くに行くのと同じくらいの感覚。



もうね。

「えー?!」って感じ。

いくら、「もう山手線エリアに新しい高速鉄道のターミナル駅を作るのは難しいので・・・」っていっても、
だからって、

「本八幡駅に新しい高速鉄道の都心側ターミナル駅作りまーす!」ってなりますかね?

「武蔵中原駅に新しい高速鉄道の都心側ターミナル駅作りまーす!」ってなりますかね?









そんなわけで、SRT水西駅です。
2018korea232.jpg
写真は地下鉄駅とSRT駅との連絡通路側から入った地下ターミナルコンコース。
画像の左側がチケット販売窓口と自動券売機。真ん中が待合スペース。右側がホーム入り口。
実に分かりやすい作りになってます。


連絡通路には、飛び出す錯覚立体アートがありました。
2018korea235.jpg


SRT水西駅は、地上にも大きなターミナルが建っています。
2018korea233.jpg

地上ターミナルのコンコースは、天井が高くて、まるで空港のよう。
2018korea234.jpg



発車案内板。
2018korea236.jpg
本数が少ないと聞いていたけど、けっこうな頻度で走ってるじゃないですか。


と、思ったら、けっこうダイヤに偏りがあって、例えば表示されている9時20分発の次の釜山行きはいきなり40分空いて10時発。
9時発の前の釜山行きはさらに時間が空いて、55分前の8時05分発。

なんと11時台には釜山行きは1本も無くて、木浦行きが1本あるだけなど、間違いなく乗り入れ先のKTX優先でダイヤが敷かれ、空いてるところにSRTを無理くりブッ込んでる現実というのが垣間見えます。




さて、今日は、CさんとKさんが企画してくれた「SRTとKTXを乗り比べちゃおうぜツアー」へ、ここSRT水西駅から出発です。

水西駅から天安牙山(チョナンアサン)駅までSRTに乗り、天安牙山駅からソウル駅までKTXに乗車するという、欲張りな高速鉄道体験乗り鉄!





ところが、天安牙山駅まで乗るSRTが、どの列車も満席。

一般室も特室も全然空いてない。




なんとか、水西駅の次の東灘(トンタン)駅までの特室なら4席取れる列車があり、急遽「SRTチョイ乗り体験ツアー」に変更。




KTXを含むKORAILの指定席列車は、KORAILのサイトからネット予約ができ、カード決済も可能なので、日本で居ながらにして韓国旅行の列車の指定席が確保できます。

しかしSRTは、サイトからのネット予約は、今のところ韓国人のみ予約可となっていて、外国人はネット予約ができません。
(帰国後、試しに韓国人向けサイトから自分の名前やメルアドなどを入力して予約してみようとしましたが、最後のカード決済の画面で日本発行のクレジットカードを受け付けてくれなかったので、結局はどうやっても外国人は予約できない)

SRT各駅のターミナルにある自動券売機も、クレジットカード対応になってはいますが、韓国発行のクレジットカードじゃないと決済できません。

外国人がSRT駅からSRTに乗る場合は、当日、ターミナル駅の窓口で駅員さん対応で指定券を購入しないとなりません。
(窓口だと日本のクレジットカードも使えます)

ちなみに、SRTの予約サイトには外国人向けの予約画面へのリンクが準備されてるので、近いうちにKTX同様に、日本に居ながらにしてSRTの予約もできるようになるかもー。




水西駅のホームは地下にあるので、地下コンコースから乗車する場合は、ほぼ平面移動でそのままホームに入れます。
2018korea237.jpg


SRT水西駅は行き止まり式。 ホームは3面6線。
2018korea238.jpg

列車が多く停まっている時間帯だと、左右に列車がズラッと並んで停まっていて、かなり壮観です。

2018korea239.jpg

SRT開業記念碑。
2018korea240.jpg

SRTで使われている列車は、120000系と130000系の2種類があります。
2018korea241.jpg
見てのとおり、KORAILの110000系「KTX-サンチョン」のそっくりさん。
それもそのはず、120000系は110000系の4次車で、元はKORAILで「KTX-サンチョン」として走っていたのを、SR社へリース移籍した車両。
130000系は、SR社が発注した、元からSR社所属の車両。

中身はほぼ同じなのに、新形式をどんどん附与していった結果、日本では考えられないインフレ形式の車両が増えていったという次第。

これから乗るのは、先頭車側面に「220」の文字があるので、120000系です。
(130000系は、先頭車側面の数字が300番台)
2018korea242.jpg

KORAILからのリース編成ですが、「KTX」ロゴではなく、「SRT」ロゴが入っています。
2018korea243.jpg


JR列車の普通車に相当する一般室(イルバンシル)。
2018korea244.jpg


JR列車のグリーン車に相当する特室(トゥクシル)。
2018korea245.jpg

KTX-サンチョンの特室座席と比べると、リクライニングがかなり倒れるようになり、座面スライドが無くなっているほか、テーブルがJR特急のような背面折り畳み収納に変わっています。
2018korea246.jpg

2018korea145.jpg
(↑参考:KTX-サンチョン 140000系特室座席)

ちなみに、SR社発注の130000系車両の特室はこんな感じで、120000系とはまただいぶ雰囲気が異なります。
2018korea247.jpg

KTXでは「KTX」という車内誌が全席に置いてありますが、SRTでも「SRT」という車内誌が全席に置いてあります。
2018korea248.jpg

特室ではKTX同様にミネラルウォーターとクッキー、ナッツ、おしぼりのサービス付き。
2018korea250.jpg
ミネラルウォーターは市販品そのままで、お菓子のパッケージも簡素だし、、KTXのものに比べると若干安っぽい感じですが、安い運賃を設定しているのに、車内誌を全席設置、特室ではお菓子付きと、ソフトサービスは決してダウングレードになっていないのがすごいです。


もちろん全席で無料Wi-Fiサービスも。
2018korea249.jpg


水西駅からわずか14分で、次の駅「東灘」駅に到着。 とはいっても、距離的に水西駅から約33kmもあります。
2018korea251.jpg
高速鉄道の駅でフルスクリーンホームドアって珍しいなぁと思ったら、東灘駅のこれが韓国では初らしい。
ちなみに、東灘駅停車の列車は1時間に1~2本あるかないか、というところで、ほとんど列車は超高速でガンガン通過しまくり。
通過時の風対策でフルスクリーンタイプになってるそうです。


新規開業の水西平沢高速線は、基点の水西駅から、KORAIL線に直結・分岐駅の芝制(チジェ)駅手前までの約60kmをずっと地下走行するので、外の風景は全く見えず、延々と真っ暗なトンネル内に響く轟音が聞こえるだけという、「乗りつぶし」「試し乗り」以外では何の楽しみもありません。



水西駅に戻る列車の発車時間まで約1時間。東灘駅をブラブラ見学。
2018korea252.jpg

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コンコース階には「クリスピードーナツ」「セブンイレブン」「ロッテリア」「韓国料理の軽食テイクアウト店」「カフェ」が入店。
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カフェでは、SRTサンドイッチセットを販売。
2018korea255.jpg

こちらはラウンジ。
2018korea256.jpg
SRTでは水西駅と東灘駅にラウンジを設置していて、SRT提携カード会員と特室乗客が利用できます。
ラウンジ内では無料Wi-Fiやドリンクのサービスがあるみたいです。

外に出てみました。
2018korea257.jpg
奥にビルが林立しているのが見えますが、ただ建ってるだけで、商用として使われていたり、誰かが住んでたりする様子はありません。


反対側も・・・何もない。
2018korea258.jpg
駅周辺はまだまだ開発途上という感じです。
コンベンションセンターやホテル、オフィスビルなどができる予定らしいですが・・・

朝晩1本ずつ、水西-東灘の区間運転の通勤用SRT列車が走っているそうなんですが(運賃もこの列車専用に格安料金が設定されているそうな)、「ここから通勤で通う人いるの?」っていうくらい、人が住んでいる気配がまったく無い。
バスやタクシーが通るけど、ほとんど誰も乗ってないし、駅周辺を歩く人の姿も見かけない。

そんなところに、なぜか日本人4人だけがプラプラと。


というわけで、特に何も見るものもなく、SRTに乗って水西駅へ戻って来ました。
2018korea259.jpg





SRTの詳しい乗車レポは、Kimiさんの「のまゆ」で見られるよ!

のまゆ  2回目の韓国~その5・日本のカードは役に立たない?~ [2018年12月韓国]






(つづく)

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タムタム

SRTはシステムとしてはフランスのウィーゴと似てますね。郊外発着、料金が安いなど。あちらはもっと航空券のように料金の細分化や手荷物料金の規定など徹底してますけれども。
鉄道の競争相手は日本だとよく他の交通機関(飛行機やバスなど)が取り上げられますが、鉄道同士の競争こそそれぞれにインスパイアするのではないかと思います。
もしのぞみ・ひかりとこだまの運行会社が違ったら、こだまの会社は利用率を上げるために様々な工夫をこらして、結果としてのぞみにもいい影響が出る可能性が大です。

それにしても東灘駅周辺のゴーストタウンぶりが凄いですね。中国にありがちななんとか特区の失敗作みたいな。でも多少日本人に対応しているみたいですよ。看板には「ドンタン駅」と書いてありますから。

02

28

08:27

京九快速

タムタムさん こんにちは
コメントありがとうございます。

SRTはよく鉄道界のLCCのようなたとえで表現されていますが、ソウル側のターミナルが遠くて不便、列車の運転間隔がまちまち、という以外は、利用者にとって特に制約の大きなものは感じないと思いました。

「のぞみ」と「こだま」の運行会社が違ったら面白そうですね。
「こだま」はきっといろんな設備でお客を楽しませる方向性にシフトしていって、東海道新幹線に乗る時の選択の幅が広がりそうです。

韓国では駅などでけっこう日本語表記を目にしました。
ハングルを全く読めないので、旅行中はとても助かりました。

02

28

22:54

JQ

韓国って先進国なのか途上国なのかよくわからない国ですね。
写真からは豊かに見えますが、日本に入ってくるニュースは経済的に厳しいと聞きます。
それを確かめに韓国へ行ってみたいです。
それにしても韓国の駅きれいですね。

03

02

21:48

京九快速

JQさん こんにちは
コメントありがとうございます。

韓国はお隣との臨戦態勢や、経済面では財閥の支配など、日本とはずいぶん環境・状況が異なりますね。
「先進国」という感覚や考え方も日本と韓国では大きく異なるのかもしれません。KTXからの車窓を見てて、都市部と農村部での格差は日本以上のものを感じました。

今回韓国で下り立った駅は近年新しく出来た駅ばかりなのできれいに見えるのかもしれません。
日本に比べると駅構内の照明が少なくて、全体的にどこも暗いイメージが強かったです。

03

03

10:41

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