lounge SRG 見た目は大人、中身は子供!
指定された席は2号車の山側対面席で、見知らぬ人と向かい合う相席だったので助かりました。
移動した先の席は、縦に細長い小さな窓の席でしたが、右隣りは車椅子スペースで空いていたのでとなりに気を遣わなくて済みました。
なにより、窓サイズが小さいとはいえ、真正面に瀬戸内海の絶景を見ながら旅が楽しめるので最高の気分になれました。

食事前にアテンダントさんからひとりひとりに「沿線マップ」が配布されました。

イラストメインで手作り感満載。
「伊予灘ものがたり」の、温かみのあるサービスがこの手作りマップによく表われていると思います。
松山駅を発車して15分後くらいに、いよいよ食事サービスが始まりました。
まずは、食事予約券のバウチャーの回収。

そして、カートに載せた食事がアテンダントさんによって手際良く配膳されます。

「大洲編」の食事は、松山市内にあるレストラン「ヨーヨーキッチン」による「モーニングプレート」です。

松山市郊外の契約農園で取れた生野菜を、収穫してすぐの新鮮なうちに料理して盛り付けた、健康志向に溢れた朝食です。

夏野菜たっぷりの「シャクシュカ」 ~イスラエル風目玉焼き~

契約農家の奥村さんちのこだわり野菜で作った新鮮生野菜サラダとフライドポテト

季節野菜の冷製ポタージュ

ほんのり甘い湯だねパンのトーストと、あまおとめ・紅ほっぺ・レッドパールの3種ミックス苺ジャム

そして、食後にはコーヒーか紅茶。カップはもちろん沿線の特産品、砥部焼です。

砂糖や爪楊枝などが収まっているケースは、「伊予灘ものがたり」のマークが入った凝ったデザイン。
個人的に、デスク上の小物入れに使いたくなりました。(残念ながら非売品)

食事を楽しんでいると、車窓にはいよいよ瀬戸内海の穏やかな海が見えてきました。

松山駅を出て約1時間で下灘駅に到着。

もはや説明不要の超有名駅です。
数々のポスターや広告物に使われたあの絶景が目の前に。
想像していたよりも海に近くて、海風が非常に気持ちよかったです。

海と列車を絡めた記念撮影は、もちろん順番待ちができるほどの人気です。
ほかの人が写らない写真は、発車時間が近くなった頃にパパッと撮っておくのがおすすめ。

下灘駅では8分停車。
もっと停車時間を長くしてほしいところですが、これでも以前よりも停車時分がちょっと長くなったんだそうです。

駅の中をプラプラ歩いていると、「記念にいかがですか~?」とカードをもらいました。

JR四国が作ったものではなく、個人の方が作ったものみたいです。
乗客全員分はないみたいで、もし貰うことができたらラッキーかもしれません。
席に戻ると、まだ食事を終えていない人のプレートにはラップが掛けられていました。
私はすでに食事を終えて食後の紅茶を飲んでいたのですが、飲みかけの紅茶にもラップが掛けられて、ホコリが入らないようにされていました。
こういう心遣いが、些細なことですがとても嬉しくなります。
しかも、下灘駅を発車して、席に戻った私を見かけたアテンダントさんがすぐに席まで来てくれて、
「紅茶、飲みかけでしたよね? 冷めてしまってるでしょうから、新しいのに淹れ直しましょう」
と、淹れたての温かい紅茶に取り替えてくれました。
ほぼ満席の車内で、誰のお茶が飲みかけだったかを覚えていて、それを放置せず「淹れ直しますね」と声を掛けてくれる気遣いには感動しました。
下灘駅の次の串駅のちょっと先では、鉄橋の上からエメラルドグリーンの海岸線が見下ろせます。
鉄橋の上で一時停車してくれるので、きらきら輝く美しい光景を眺めることができました。

ここでも、座席位置によっては真下の風景が見えにくいところがあるのですが、その席の人にはアテンダントさんが「ここからならよく見えますよ!」と乗降ドアの窓や空いている席の窓に案内していました。
串駅の次の喜多灘駅は・・・・

大洲市と伊予市の境目にあり、それぞれの土地に伝わる美女伝説をモチーフにした看板が設置されています。

「大洲編」のモーニングプレートは、食事の画像を見ても分かるとおり、量が非常に少なめです。
なので、食後もなんだか食べ足りない気分になります。
メニューを見ると、スイーツがいくつか用意されているようです。


「伊予灘のらぶかん」と名付けられた、ジュレとムースとスポンジケーキが段になったスイーツを注文しました。
飲み物には、道後サイダー。


伊予長浜駅を過ぎると、海岸沿いから山間の川沿いへと風景が変わります。


五郎駅では、名物のたぬき駅長が「伊予灘ものがたり」の通過をお見送り。

旅も終盤になると、乗車記念グッズのワゴン販売が行われます。
伊予灘ものがたりのロゴ入りグッズや砥部焼き、地元の名産品などはもちろん、沿線の小さな商店が作った手作り菓子などのようなものまで揃っていて、おみやげの取り揃え内容からも「伊予灘ものがたり」がJR四国と沿線住民の盛り上げで走っていることが伺えます。

最後に、大洲の街で使えるクーポンブックや観光マップ、そして「伊予灘ものがたり」運転開始3周年を記念して伊予市のマルトモさんの協賛でかつおぶしが乗客全員に配られました。

終点の伊予大洲駅に到着。松
山駅から約2時間の、海と山と川を愛でる自然がいっぱいの列車旅でした。
下車する時も、乗降口の前でアテンダントさんがお見送りしてくれます。


ホームには大洲市の商店街の方々が仮設カウンターを出して、地元の名物パンやお惣菜を用意して乗客を出迎えてくれました。

今回乗った「伊予灘ものがたり」。
これまでに乗ったことのある「レストラン列車」の中では、一番の満足と感動を感じられました。
とにかく地元沿線のみなさんの歓迎っぷりがハンパじゃなくすごい。
「JRに頼まれてるから出てきた」という義務的な雰囲気が全然無くて、自発的に線路端に出て手作りの旗やら看板やらを振ったり掲げたり、中には仮装やコスプレをして来る人までいて、もう「お祭り騒ぎ」的なはしゃぎように、こっちまでテンションが上がってきます。
これが昨日今日走り始めたばかりではなく、この時ですでに「3周年」だというのだから、この列車がいかに地元民に愛されて、地元民に支えられてきたのかと思うと、胸が熱くなります。
JR四国の努力と工夫も随所に感じられ、国鉄時代からのロートル車両を限られた予算でいかに美しく懐かしさが感じられるものに改装するか、お金のない鉄道会社が頑張りに頑張りぬいて作り上げたのがよく分かります。
アテンダントさんの素朴で温かく、だけど小さな心配りも漏れずに提供するヒューマンサービスは、正直かつての「つばめレディ」以上のものを感じました。
こう言っては失礼かもしれませんが、四国のすみっこの田舎を走るこの列車の乗務員が、こんなにも人をもてなして喜ばせてくれるサービスマインドに溢れているとは予想すらもしていませんでした。
リピーター率もかなり高い列車であるというのは当然だと感じ、指定席と食事予約がなかなか取れないというのも納得でした。
かの「伊豆クレイル」とは、全てが間逆の位置にあるのがこの「伊予灘ものがたり」であると実感しました。
お金持ちの鉄道会社がかつての花形特急をお金をかけて派手に改装し、テレビで度々取り上げられる有名店の人気シェフとコラボした食事を出し、日本有数の車内販売運営会社がアテンダントを投入してでさえ、四国を走るこの小さな2両編成の気動車の中に詰まった努力と情熱と結束には遠く及ばない。
今これから、こうした「レストラン列車」を投入しようという鉄道会社や地域が参考にして学ぶべき存在は、JR九州でもJR東日本でもなく、JR四国が走らせるこの列車なのかもしれないなと思いました。
偶然にも、ほとんど同じ時期にお友達さんも同じ列車に乗っていたので、そちらのブログレポートも参考にすると、さらに「伊予灘ものがたり」に乗った気分になれるかもよ?
のまゆ JR四国のバースデイきっぷでリッチな乗鉄~その18~ 伊予灘ものがたり 車内編
のまゆ JR四国のバースデイきっぷでリッチな乗鉄~その19~ 伊予灘ものがたり 乗車編
(旅行自体は、まだつづく)
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京九快速
ちょっぱさん こんばんは
コメントありがとうございます。
カードに印刷されたスタンプのデザインが、一定以上の年代の人には懐かしく感じられますよね。
(私もその年代に入るひとりです)
こうしたあたたかい手作り感をいっぱいに感じられるのも、伊予灘ものがたりのいいところだと思いました。
02
27
23:06
niko
私も1月に四国に行った際伊予灘ものがたりのチケット争奪戦に参加しましたがあえなく撃沈…3周年を迎えた今でも閑散期なんてものはないですね。
替わりと言ってしまうのは大変失礼に当たりますが千年ものがたりそらの郷紀行に乗って来ました。
こちらも伊予灘ものがたりをしっかり受け継いでいるサービスでまさに「乗る事が旅の目的になる列車」と実感しました。
03
01
05:08
京九快速
nikoさん こんにちは
コメントありがとうございます。
今回の旅行は3日間四国島内にいたのですが、いずれの日も伊予灘ものがたりは全便満席で、希望する日の希望する列車は1つも取れませんでした。
なんとかこの列車に乗ることができたのも、偶然JR四国に問い合わせたところキャンセルが1席出たので取れるということで確保してもらったものです。
ものすごい人気で、本当にビックリでした。
実際に乗ってみると、指定券と食事券が取れないほどの人気である理由が分かりました。
本当に素晴らしい列車でしたね。
千年ものがたりもいずれは乗ってみたいと思っているのですが、こちらもなかなか予約が取れない列車のようで。。。
03
03
21:52
タムタム
全国各地に観光列車やレストラン列車が乱立して、今までのように「箱さえ作れば」では生き残れないですね。主なターゲットを都会からの観光客としているなら、彼らが求めているのは何か、それに対して何が出来るのか綿密な計画が必要ですね。でも結局は現場がどれだけそれを再現出来るかにかかってるんですよね。伊豆クレイルは次にできる伊豆急の観光列車の前座なんですかね。
06
10
19:30
京九快速
タムタムさん こんにちは
コメントありがとうございます。
こういったレストラン列車を盛り上げるには、地元の参加への熱意とそれを継続していく情熱が必要なのかなと感じます。
車内で出す食事を沿線ので食材で作りました、というだけならどこでも走らせることはできると思います。
でも利用者側が「一度乗ったからもういいか」と思ってしまうと、最初は物珍しさから来る客も減り、次へと続いていかず、採算割れで終了。
「レストラン風の車内で食事」というスタイルのイベント列車がもう珍しくなくなった今、次に感動し心に残るのは「どれだけ自分たちが熱烈に歓迎されていたか」と「今まで見たこともない、滅多に見られない絶景を見ることができる」ぐらいに絞られてくると思います。
この「伊予灘ものがたり」は、手頃な値段設定なのに、それ以上にアテンダントさんの心遣いと暖かいサービスマインドが感じられ、沿線の地元の人たちの歓迎振りが“仕込みのない素人っぽさ”から嬉しく感じられるツボをくすぐられるという点が大きいと思います。
今でも、機会があればこの「伊予灘」には別の時間帯の運行列車に乗ってみたいと強く思っていますよ。
06
11
23:49
ちょっぱ
わたしの旅スタンプ風のスタンプ、懐かしい感じがいいですね
02
27
00:34