E3系 R1編成ラストラン その1

秋田新幹線「こまち」号で走っていたE3系新幹線車両には、1995年に製造された試作編成(量産先行車)が存在しました。
秋田新幹線開業前から高速走行や新在直通の試運転を行っていて、当時は試験用の非営業用編成として「S8」の編成番号が附されていました。
秋田新幹線開業後は、開業直前に落成した量産車に仕様を可能な限り合わせた改造工事が行われ、営業用の編成のひとつとして「R1」の編成番号が附されて「こまち」号で活躍していました。

「R1」編成は、他のこまち編成と比べて先頭車の顔が明らかに違っていたので、パッと見ただけでもすぐに「試作の車両だ」と、わりと誰でも分かるような違いがありました。

左:量産車の「こまち」     右:試作車「R1」編成の「こまち」
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白銀にピンクの帯という塗装は同じですが、ヘッドライトの位置と形状が両者全く異なり、R1のほうは顔が丸くて細いスマートな印象でした。

2013年に後進のE6系が「スーパーこまち」で営業運転を開始すると、E3系は徐々に運用離脱・廃車が進み、R1編成も引退の時がきました。
JR東日本秋田支社では、R1編成の最終営業運転をわざわざプレスリリースにて告知を行い、沿線では見送りの式典を、車内では営業運転終了の記念品を配布するなどのイベントを計画。
列車そのものが廃止される、またはその形式で最後まで残った1編成が引退するといったことでこうしたイベントが行われるのは珍しいことではありませんが、R1編成が引退する時点でE3系はまだ多くが「こまち」で活躍中でしたし、そういう意味ではE3系のうちの1編成がただ引退するだけでここまでのイベントを行うというのは異例のことのように思われました。
(山形新幹線の400系の、同じく先行量産車の試作編成「L1編成」の最終運転では、新在直通運転を最初に実現した記念碑的な車両であったにもかかわらず、特にこうした告知もイベントも何もありませんでした)

秋田新幹線の線路が完成して全てが繋がった時、それはつまり東京と秋田が新幹線の線路で繋がったことを意味し、R1編成は秋田から東京へと直通する新幹線の第一号編成だったことから、秋田側ではR1編成に対する思い入れや感情移入の強さが他県民が思う以上に大きかったのではないでしょうか。
その思いの強さが、「R1編成引退セレモニーイベント」の開催に現れていたのだと思います。



じゃぁ、そもそも自分は「R1」編成に何か思い出や思い入れがあるのかと言われれば、ほとんど無いのですが。
R1編成が落成して以来約20年、山手線から東京駅新幹線ホームに停まってたのをたまたま見かけたとか、常磐線乗ってて日暮里手前で地下から飛び出してきたのがそれだったとか、旅行先でたまたま見かけたから写真に撮ったとか、そんな程度でしか関わり合いがなかったりします。

そんなわけで、私が「葬式鉄」を自ら実行してしまうという不甲斐ない結果で誠に申し訳ございません。

R1編成の最終列車は秋田発の「こまち」36号と発表されていたので、まずは秋田へと向かいます。
最初は、ANAのボーイング787が秋田空港に就航していたのでそれで行こうかと思ったのですが、「スーパーこまち」のえきねっと割引が予約できたので、往復とも秋田新幹線に乗ることにしました。

東京駅の発車案内板。「スーパーこまち」の文字がえらく小さくて見難いです。
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この時初めてE6系新幹線を見ました。ネットや雑誌の写真で見るより、艶やかで輝いていて感動しました。
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メカニカルな造形があまり現実感がなくて、エヴァンゲリオンとかF1とかスーパーカーとか、男のロマンの琴線に触れるデザインです。「女、子供は黙ってろよ」的な? なんというか、見てるだけでシビレてしまう。
そして顔が真っ赤なのに対して、側面はあえてほぼ無色。これは相当狙ってるとしか思えません!
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側面のロゴマークは、「こまち」のロゴから小野小町をモチーフにしたシンボルマークになりました。
疾走感あふれる宇宙チックな小野小町ですね。
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「こまち」のロゴをやめてシンボルマークにしたのは、きっと「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」でもE6系が使われるからでしょうね。
でも個人的にはE3系のはんなりとした「こまち」のカラフルな毛筆書体のほうが、「こまち」の愛称にお似合いだと思います。
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E5系との連結部分はものすごいインパクトがあります。
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E6系「スーパーこまち」初乗車だったので、記念にグリーン車にしました。
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横4列のグリーン車ですが、車内空間と座席の色彩が絶妙で、高級感ある和モダンテイストに感動です。
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グリーン車客室の仕切り壁とドアがこれまた美しい。
角館の武家屋敷に実際に行ったデザイナーがその美しさに感動し、武家屋敷の柱や格子・欄間などのイメージがこのドアと壁のデザインに活かされているそう。
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ラッキーなことに1人掛け席が取れました。
(ごく普通にえきねっとのシートマップで空席になってました)
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隣りがいないというゆとりがある分、自動ドアの開け閉めが頻繁で落ち着かない席でもあります。
ドアはなんでタッチセンサー式にしなかったのだろうか。

東京駅発車の時点ではグリーン席は半分も乗っていませんでしたが、大宮でたくさん乗ってきて満席になりました。

上野駅を出ると、グリーン席ではドリンクサービスが。同時におしぼりと車内用のスリッパがもらえます。
(現在これらのサービスはありません。)
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大宮を出て、車内がちょっと落ち着いてから朝食。 東京駅で買った駅弁です。
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この時、ちょっと素敵なことがありました。
グリーンアテンダントさんが、大宮から乗ってきたお客にドリンクを渡し終えて車販準備室に戻る時です。

「ご朝食ですか?よろしければお茶か何か、お飲み物お持ちしましょうか?」

こちらからお願いするより前に、アテンダントさんからリクエストを聞いてくれました。
この時、ペットボトルの水を飲んでいたのですが、思わず「あ、じゃぁ、温かいお茶で」とお願いしました。

「スーパーこまち」には、グリーン席サービス専属担当と車内ワゴン担当の、2人のアテンダントさんが乗務しています。
E6系はグリーン席の座席数が少ないので業務に余裕があるのかもしれませんが、アテンダントさんのほうから「飲み物をお持ちしましょうか?」と言ってくれたのは、あの「はやぶさのグランクラス」でさえ言われたことがなかったので、正直驚きました。
(現在は、JR東日本の新幹線のグリーン車サービスは終了してしまったので、もうグリーン席でこのような素敵なアテンダントさんに出会えることはなくなってしまいましたが、このアテンダントさんがグランクラスに乗務してて、同じように素晴らしい心遣いができるサービスをされていたらいいなぁと思います)

グリーン車にも車内販売のカートが入ってきます。
この頃はまだE6系が珍しい存在だったので、 「スーパーこまち」関連のグッズを購入。
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あと、E5系とE6系の連結をモチーフにした「2つで1個」みたいなおつまみがあったので買ってみました。
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大宮を出ると次は仙台、その次は盛岡。 安定した速度で、ガンガン飛ばして走ります。
電光表示装置に「ただいま300Km/hで走行中」とか出るのかと思ってたのですが、1回も出ませんでした。
320Km/h運転になってもやっぱり表示されないのかな。乗ってる乗客にはかなりインパクトのある情報だと思うんだけど。(ちょっとした土産話にもなるでしょうしね)

となりの普通車を見に行きました。
座席の形や、天井の照明カバーが独特な形状ですね。普通車には盛岡まで満席に近いほど乗ってました。
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車内販売のワゴンが再び来たので、「新幹線スイーツセット」を購入。
スイーツとコーヒーがセットになって、単品で買うよりお得な金額となっています。
でも、私はコーヒーが飲めません。
コーヒー以外の飲み物は選べないのか聞いてみたら、「グリーン車サービスのドリンクをお持ちしますので、ワッフルだけの購入ならお得ですよ」と教えてくれ、ワッフル代140円+フリードリンクでスイーツセットになりました。
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先ほどのグリーンアテンダントさんといい、ワゴン担当のアテンダントさんといい、なんかNRE社内でサービス革命でも起こってるんですかね。
こんなにいい気分で乗れたグリーン席は、過去「787系特急つばめ」くらいですかね。
とりあえず、JR東日本ではグランクラスを含めてもこんな「超いい気分」になれたことはこれが初めてです。



とまぁ、そんなこんなで盛岡まで来ました。
ここで「はやぶさ」と「こまち」は分割されますが、先行して発車する「こまち」に乗っている人は切り離し作業を見られません。残念。
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(つづく)

この記事へのコメント

QUWA : 2016/06/17 (金) 11:53:26

先日スーパービュー踊り子(もちろんグリーン車)に乗ったときの話し。
個室に乗り、SVO名物のカレーライスをサロンで食べることにしたのですが、準備が出来たら呼んでもらうことに(サロンに来て出来るまで待ってて、と言うわけではないことがポイント)。
そして食後は「食後、お飲み物はいかがですか?」と。
なかなか感心しました。

>NRE社内でサービス革命でも起こってるんですかね。
草の根運動的な感じかもしれませんが、十分にあり得ます。
(そんな中、新幹線Gでドリンクサービスを廃止するのはもったいなさ過ぎ…)

京九快速 : 2016/06/17 (金) 16:39:46

QUWAさん こんにちは
これだけ車内販売やグリーン車サービスが縮小している中で、スーパービュー踊り子だけはまだ別格の扱いで頑張っていますね。
ビューレディー(死語?、というか最後に乗った時は男のスタッフもビュー踊り子に乗ってたけど)のサービスレベルも落ちていないみたいで、素晴らしいです。
251系のあとに出てくる新型ビュー踊り子も、グランクラスや四季島の流れに乗った高級志向のハイレベルな特急になるといいですね。もちろん人的サービス的にも。

新幹線のグリーン車のドリンクサービスは、せめてグランクラスのフルサービスを行う列車だけででも続けて欲しかったですね。

PMdiet : 2016/06/19 (日) 11:23:16

グリーン車のサービスはそっけないですねぇ、ANAのプレミアムクラスは貧乏人には肩身が狭いですが(SFCのポイント位か使わないのもあって)
新幹線開通前に博多~西鹿児島をつばめで乗りとおした時はドリンクサービスが3回来て一緒に乗っていた友人とびっくりした記憶が(かれこれ20年前になるのか)

 東の新幹線は乗ること少ないのでピンと来ないですが、787の国内線仕様があまり気に入ってないのはよくわかります。

京九快速 : 2016/06/20 (月) 23:38:31

PMdietさん こんばんは
JR東日本のグリーン車は料金が他社より割安なので、「ちょっと大きめの座席と広めの足元」がサービスポイントなのでしょうね。
何に比べるにしても、博多-西鹿児島時代の787系特急つばめを引き合いに出してはいけません。あれがレジェンドすぎたのです。

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