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(前回からのつづきです)
九州旅行2日目の朝です。

まだ7時前で時間が早いということもあって、博多駅前を歩いている人もそんなに多くありません。
今日はこれから特急「にちりんシーガイア」5号で、博多から宮崎空港までを乗り通します。

博多駅7時30分発、終点の宮崎空港駅には13時19分着で、乗車時間は5時間49分、走行距離は413.1Km。
定期特急列車としては、日本で一番の最長距離を走るレコードホルダーの特急です。
「にちりんシーガイア」の車両は、787系「つばめ型車両」。

今回の旅のテーマ『【祝・787系つばめ30周年】787系にいろいろ乗る九州旅』では、絶対に外せない列車です。
「にちりんシーガイア」が783系ハイパーサルーンで走っていた頃には何度か乗りましたが、787系で全区間を乗り通すのは今回が初めてです。
行先方向幕には、わざわざ「南宮崎経由」の注意書きが加えられています。

赤帯部分の列車名の英語表記は「NICHIRIN SEAGAIA」ではなく、単なる「NICHIRIN」となっていますね。
特急愛称としては、「にちりん」は大分発着の特急、「にちりんシーガイア」は博多まで直通する特急、という使い分けになっています。
2号車の指定席。 博多発車時点でこんな感じでガラガラです。

3号車から6号車までは自由席。

博多~小倉間の近距離利用者で停車駅ごとにこまめな乗車下車があり、かなり混雑していました。
今回ももちろん、せっかく博多から宮崎空港まで乗り通すのでグリーン席を利用します。

オープンキャビンは、博多から小倉まで乗客ゼロの無人状態でした。
この列車こそ「グリーン個室」を予約して乗車したかったのですが、指定券手配の時点で個室は売れてしまったあとでした。

当日の乗車直前までこまめにグリーン個室が空いていないか、窓口で空室チェックをしたのですが、空きませんでした。

ちなみにこの日のグリーン個室には、小型カメラを回しながら話をしたり撮影をしているユーチューバーのような方が乗車されていました。
実況ライブ撮影とかやってたのかな?
というわけで、「にちりんシーガイアのグリーン個室全区間乗車走破」はまた別の機会に再チャレンジするとして、今回は「デラックスグリーン席」で博多から宮崎空港まで乗車します。



フルフラットに近い角度(公表スペックでは、フルリクライニング角度が144度)までリクライニングするシートがすごい。
787系登場当時には「トップキャビン」と呼ばれていた、ガラス扉で仕切られた半個室空間に3席だけが設定されています。
この日は、宮崎空港まで「デラックスグリーン」の利用者は私だけで、終点まで貸切乗車が楽しめました。
この「デラックスグリーン席」の細かな設備のご紹介は、また後ほど・・・
「デラックスグリーン席」の先頭側は、すぐ運転席になっています。
運転席と客席の仕切りドアの窓越しに、前展望(後展望)の車窓が見えます。

特急「にちりんシーガイア」5号 博多駅ホーム案内表示・入線シーン・鹿児島本線内の後展望
車内をプラプラと散歩。
2号車の大型トイレの脇の通路に、こんな電照広告が残されていました。

下部に書かれている列車名に「ドリームつばめ」「ドリームにちりん」「かもめ」も書かれています。

この3列車にも787系が揃って投入されていた期間は意外と短く、1994年3月から1995年4月までの約1年間だけなので、この電照広告は少なくとも27年前からこのままだったということになります。
「つばめ」の電照広告のとなりは、

JR九州バスの「レッドライナー」の広告。 しかもこちらは電球切れのまま放置されているようで、電照になっていませんでした。
同じく2号車のデッキ。ここはパブリック設備が集約されていますが、自動販売機はサービス終了。

自販機のとなりの赤い扉は、以前は公衆電話ブースでしたが、現在は携帯電話ブースとして使われています。
自販機と電話ブースの反対側は、ベンチがある半個室の「マルチスペース」。

デザイナーの水戸岡氏が、787系の編成全体を「街」に見立てて様々な設備を車内に盛り込み、このマルチスペースは「ビュッフェから自分の座席に戻る途中で、ちょっと腰掛けて友人とおしゃべりできる空間」といった『街中にある公園』のような使われ方を想定して、オープンな多目的室として設置されました。
JR他社の特急車両の多目的室は、設備としてはあるけれど常に施錠されていて自由には使えず、車内にいる車掌さんを見つけて声を掛けて開錠してもらって初めて使えるという、非常に面倒くさい(運行側としてはあまり使ってほしくない)のが全開なイメージの設備だったのを、787系では施錠されずにいつでも誰でも自由に使えるという空間にして乗客に提供した点が当時は斬新でした。
ビュッフェが廃止された後に、ビュッフェのフードストッカースペースを改造して作られた「ミニショップ」の跡。

ここも「ミニショップ」として活用されたのはごくわずかな間だけで、今のような中途半端な空間で放置されている期間のほうが長くなってしまっていますね。
半個室の「セミコンパートメント」区画。

特急「にちりんシーガイア」5号では自由席となっていますが、ほかの座席はけっこう混んでいるのに、なぜかセミコンパートは空席が目立っていました。
通路と座席を仕切るガラスが曲面になっているこの車両は、特急「かもめ」用の増備編成からデザイン変更されたものです。
2号車の乗務員室に貼られた行先方向幕の表示一覧表。

70コマもあって、かなり懐かしい愛称の列車もまだ残されているのが驚きです。
01 特急みどり 博多
02 特急みどり 佐世保
03 回送
04 試運転
05 臨時
06 団体専用
07 特急にちりん 宮崎空港
08 特急にちりん(&ソニック) 大分(博多)
09 特急にちりん(&ソニック) 別府(博多)
10 特急にちりん 中津
11 特急つばめ 西鹿児島
12 特急有明 長洲
13 特急有明 大牟田
14 特急ドリームつばめ 西鹿児島
15 特急有明 門司港
16 特急有明 小倉
17 特急有明 博多
18 特急有明 熊本
19 回送
20 特急有明 久留米
21 特急にちりんシーガイア 博多
22 特急にちりんシーガイア 南宮崎
23 特急にちりんシーガイア (南宮崎経由)宮崎空港
24
25 特急にちりん 小倉
26 特急にちりん 博多
27 特急にちりん 大分
28 特急にちりん 宮崎
29 特急にちりん 南宮崎
30 特急にちりん 別府
31 特急ひゅうが 延岡
32 特急ひゅうが 宮崎
33 特急ひゅうが 宮崎空港
34 特急ひゅうが 南宮崎
35
36 特急かもめ 諫早
37 特急かもめ 小倉
38 特急かもめ 博多
39 特急かもめ 長崎
40 特急かもめ 佐賀
41 特急かもめ 肥前山口
42 特急有明 (熊本経由)武蔵塚
43 特急リレーつばめ 新八代
44 特急リレーつばめ 鹿児島中央
45 特急リレーつばめ 博多
46 回送
47 普通 宮崎
48 普通 南宮崎
49 普通 宮崎空港
50 特急きらめき 小倉
51 有明 博多・吉塚
52 特急きりしま 宮崎
53 特急きりしま 国分
54 特急きりしま 鹿児島中央
55 特急きりしま 都城
56 特急きりしま 霧島神宮
57 特急きらめき 博多
58 回送
59 特急かいおう 直方
60 特急かいおう 博多
61 特急リレーつばめ 熊本
62 特急川内エクスプレス 川内
63 特急川内エクスプレス 鹿児島中央
64 特急みどり 早岐
65 普通 熊本
66 特急有明 水前寺
67 特急有明 (熊本経由)肥後大津
68 特急きらめき 門司港
69 特急有明 (熊本経由)光の森
70 特急有明 博多(熊本まで普通)
西九州新幹線開業で新設される「リレーかもめ」「かささぎ」が表示内容に加わるでしょうから、この方向幕も一新されるのかな?
グリーン車以外の車両のデッキはメタリックな装い。 登場当時から変わらぬ「近未来」的な雰囲気です。

787系登場以降、アルミパネルを使ったり、メタル感のある素材を使った新型特急が787系のデザインを追従するように現れましたから、この787系が鉄道車両デザインに及ぼした影響というのは計り知れないものがあります。
30年前の1992年にこの圧倒的な迫力でロールアウトしたのですから、当時の驚きたるや、ものすごいものがありました。
まさに「なんだぁ、こりゃぁ!」と声に出てしまうほどでした。
6号車の運転席側の仕切り壁には、1993年のブルーリボン賞受賞記念プレートがまだありました。

一方、1号車グリーン車側のほうは・・・

受賞記念プレートが撤去されていて、プレートが貼られていた跡だけが残っていました。
2号車の車椅子対応の大型トイレです。 登場当時に車内にこの規模のトイレが設置されたのは破格の広さでした。

ここも、デビュー時は普通車のデッキと同様にアルミパネルで覆われた「宇宙船の中のトイレ」のような雰囲気でしたが、「リレーつばめ」化改造リニューアルで白を基調としたインテリアに変更されました。
アルミパネルのギラギラの時には、そうでもなかった室内の汚損や黒ずみが、白基調になった途端にとてつもなく汚らしく目立つようになってしまい、「787系の30年」の時間の長さをマイナスのイメージで感じさせるポイントになってしまっています。
また、洗面台のシンクがボロボロで不潔感がハンパなく、787系が十分なメンテナンスを受けていないのがよく分かってしまいます。

こちらは1号車のグリーン客専用サニタリーの洗面台のシンク。

かつての国鉄型485系で長期に渡って使用されてきた車両をこれまでに各地で乗ってきましたが、洗面台がここまでボロボロになっているのは、様々な485系に乗ってきた中でも見たことがありません。
時々、ネット上で「JR九州は観光列車の改造に金を使う前に、地元の利用者が乗る普段使いの車両のメンテナンスに金使えよ」みたいな意見を見かけますが、787系のこういう部分を目の当たりにすると、九州にお住いの利用者からこういう声が出るのも納得だなぁと思ってしまいますね。
小倉駅で乗客のほとんどが入れ替わり、空席だったグリーン車のオープンキャビンにも2人お客さんが乗ってきました。
進行方向が変わって、小倉から宮崎空港までは1号車のグリーン車が先頭になるので、運転室越しに前面走行展望が楽しめます。
特急「ソニック」と一瞬のすれ違い。

別府と大分の間は海岸線を間近に見ながら走ります。

大分駅に到着。

博多行きの883系「ソニック」が停まっていますが、前面のパネルがえらく酷く抉られていますね。

小倉から大分まで、普通車自由席はけっこうな混雑でしたが、大分でほとんどの乗客が下車したようです。
逆に大分から乗ってくる乗客はごくわずかで、この先の区間の閑散さがすでに目に見えるよう。

883系と787系の並び。 この両形式は、私がJR九州のデザインワークに傾倒し始めた頃は、ホントに羨望の眼差しで見ていました。

「にちりんシーガイア」5号の反対側のホームには、貨物列車が停まっていました。

JR貨物のEF81-450番台機関車。初めてじっくり見ました。 やばいこのスタイルのEF81もかっこいい!模型欲しくなっちゃう!
大分駅では4分停車。 ホームに売店が無いので軽食とかスナック菓子とかは入手できず。自販機で飲み物だけ買っておきました。
「にちりんシーガイア」5号の行程は、ここ大分までで、まだ半分というところ。
終点・宮崎空港駅までの長旅はまだ続きます。
(つづく)
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京九快速
ロックさん こんにちは
小倉から宮崎まででもかなり距離があるので、DXグリーンやグリーン個室を利用する価値はかなりありますね。
JR九州の特急グリーン席は、新幹線開業前を比べると空席が多いですね。今回の私の場合もそうですが、貸切状態なのは珍しくもないといった感じになってしまっています。
一頃は「つばめ」「かもめ」なんかはグリーン席でも座席の確保が難しいくらい混んでました。
運転席の仕切りドアの窓は、付いていない編成もあるみたいです。
展望窓というにはあまりに小さい窓ですが、ここから運転席越しに前展望が見られるので、鉄道ファンには嬉しいですね!
09
15
15:35
ロック
こんにちは。
かつて「HAPPY BIRTHDAY ♪ KYUSHU PASS」が販売されていたとき、グリーン車の発行枠を使って「にちりん」3号で小倉から宮崎までDXグリーンに乗りました(現在のにちりん3号はDXグリーンなしの4両編成ですが当時はDXグリーンありの6両だった)。
小倉から宮崎までDXグリーンどころか普通のグリーン車もグリーン個室も乗客ゼロで、全区間1両まるまる貸切という貴重な経験をさせていただきました。
それといつの間に客室と運転室を仕切るドアにガラスがついたんですね。
09
15
11:49